大家さんの思い出

今、通勤電車の中なんかで、ぼちぼちこの本を読んでいる。
大家さんとのやりとりが、なかなか面白い。

      • 以下引用

“わかってね、マサコ。私、このアパートに私の心臓を置いてあるの。だから大事に使ってね。”
 心臓を置く、なんて言い回し、初めてだったけれど、私の気持ちのこもった部屋という意味だとは理解できる。私としては、コニリィオ婦人の心臓なんか、ここに置かれると窮屈でしかたない。持って帰ってもらいたいけれど、、。

      • 引用終了

このやりとり、笑っちゃった。
私も、ミュンヘンで家具付きアパートを借りた時、似たような事を言われたので。
リビングに、すごく立派な食器棚があって、その中には、マイセンやニンフェンブルクなど、目がくらみそうなお値段の高級食器が並べてあった。
「これは先祖代々の品なんで、絶対気をつけてね。ここの食器はもちろん使わないでね。」と。使うわけ無いやん。そんな恐ろしいもの。
その食器棚のそばに掃除機をかけるときは、いつもドキドキ。
食器棚自体も、アンティークの超高級な食器棚だったし。傷つけたらどうしようか、、と思って気が気じゃなかった。
日本に帰国する時、無事に引き渡せて本当にほっとした。
大家さんは、大学の教授夫妻で、ちょうどその時ミュンヘンから別の大学へ赴任していたので、あいた仕事用のアパートを貸してくれたのだ。
日本に帰国後、一度学会か何かで大家さん夫妻が日本にやった来られた。
その際、昼間お暇な奥様を、銀座&お台場にご案内した。
「あの食器は本当に素晴らしい食器でしたよね。」と、私が食器の話をすると、
「ええ、まあね。でも、あれはまあそれほどでもないの。バイエルン郊外の本宅に置いてある食器が、一番高級で貴重なものばかりなのよねえ。」と奥様。
え〜!!そうだったんだ。
あんなに毎日ドキドキしながら眺めていたのに。
でも、マイセンやニンフェンブルクの食器より高級って、、どんなのなんだろう??
ちなみに、そこのアパート、食器棚やその他家具類はアンティークで素敵だったけれど、冷蔵庫やテレビは、笑っちゃうくらい古くてぼろかった。
お金のかけどころが違うのね。