江戸東京《奇想》徘徊記

江戸東京《奇想》徘徊記 (朝日文庫 (た44-1))

江戸東京《奇想》徘徊記 (朝日文庫 (た44-1))

私が大阪から東京に引っ越してきたのが、1990年。思えばもう20年も関東暮らしをしているわけだ。
最初に住んだのが町田市。そこから一度ミュンヘンへ渡り、帰国して住んだのが横浜。そして、2000年の暮れからは、ここ、東京都江東区に住んでいる。
町田に住んでいた頃は、あんまり“東京”を感じなかった。今住んでる江東区に越してきて、初めて東京の良さを感じるようになったし、東京という街が好きになった気がする。たぶん、月島や門仲、深川、築地、それに根津あたりをうろうろするようになって、なんだか東京がだんだんわかってきたような。今のこの東京という土地が、かつての江戸につながってるんだなあ、なんて感じたりして。江戸は遠すぎても、明治の頃の東京は、時々すごくつながりを感じたりする。私が大好きな、山田風太郎の、明治を舞台にした小説なんかも、永代橋だの築地だの、いろいろなじみの場所が出てきて面白いし。
こんな私に、江戸や明治の名残を紹介しながら東京の街を解説してくれる、この『江戸東京《奇想》徘徊記』はとても面白い。種村季弘先生の文章ってすごく面白くて、わくわくさせてくれるなあ。
本の裏表紙には、“当代きっての博覧強記にして粋人であった種村季弘”とあるけど、まさにその通り。博学で、いろんな資料をもとに詳しく語られている街の歴史が興味深い。特に、日頃よく歩いてる、家の近所だとか職場の近所の話は面白くて、何度も読み返しちゃった。この本を頼りに、もう一度詳しく歩き直してみようかな〜。そんな計画も、ちょっとわくわく。