本とか漫画とか

充電中は、結構時間があって、いろいろ本や漫画を読んだり、DVDを見たりできたので、おいおいそのレビューを紹介していこうかな、と思ってます。今日はとりあえず、その中の2冊を紹介します。

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

まずは、この夏すご〜くはまったミステリーを一冊ご紹介。
ミステリーを読み始めて、その世界に浸るとどんどん読み進められるんだけど、わりと最初の方はなかなか世界に浸れず、だから読み進むのも遅い、、というケースが多い私。でもこの作品は、最初っからものすごくこの世界に引き込まれて、どんどん読み進めることができた。もう、ページをめくるのももどかしい、、と思うくらい。すごく面白いミステリーだった。
あらすじはこんな感じ。

少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。事件後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように…。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。家族の再生をただひたすら信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。

わずか13歳の少年ジョニーと、ジョニーの妹の誘拐事件を追う刑事ハント。その二人の主人公を軸に描かれている小説。そこに、ネイティヴアメリカンの歴史なんかも含まれていて、キリスト教に対する思いなんかも描かれていたりして、すごく内容が深い。家族とか友情とか、希望とか正義とか、いろんな事を考えさせられる。実際、アメリカにはこういう事件が多いのかも、、。
最後、事件の真相は「え??そうだったの??」と思う意外な展開。ラストも納得の終わり方だった。余韻があって、本を閉じてからもあれこれいろんな事を考えさせられた。ハッピーエンドではなかったものの、希望の持てるラストだったので、なんだか読後感も爽やかだったし。ミステリーとしても面白く、小説としても素晴らしいできだったと思う。この作品はすごくおすすめ。
思わず、同じ作者の『川は静かに流れ』も買ってしまった。それもすごく面白かったんだけど、その話はまたこの次に。

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

もう一冊はこの漫画『テルマエ・ロマエ』。
8月のある日、丸善の店先でこのコミックスを発見。なんだか面白そう、、と思って買ってみた。店頭のポスターには手塚治虫文化賞とかも取ったと書いてあるし、何よりローマ帝国と日本の風呂文化を描くっていう発想が素晴らしいなあと、すごく興味を引かれた。
読んでみると、確かにものすごく面白い。舞台は西暦130年のローマ帝国。仕事がうまくいかなくて、半失業状態の設計技師ルシウスが、気分転換にきた公衆浴場で、なぜか現代日本の銭湯にタイムスリップ。日本人を「平たい顔族」という奴隷の種族?と勘違いしたルシウスだけど、そのいろんな風呂文化にびっくり。脱衣籠とかフルーツ牛乳とかにいちいち驚くルシウスがなかなか面白い。
ラテン語の表記もしっかりしてるらしい(専門家がおっしゃってたから間違いない)。てことは、描かれてるローマ帝国の様子もかなり時代考証とかしっかりしてるのかも?ローマ帝国ってそう思うとすごく豊かだったのねえ、、なんてしみじみ。
作者のヤマザキマリさんは、旦那様がイタリア人の歴史家らしいので、そのあたりは旦那様の力もあるんだろうな。それにしても、風呂という切り口で、古代ローマと日本を結ぶという発想が素晴らしいし面白い。ということで、このマンガ、すごくおすすめ。歴史好きの人、ローマ好きの人、お風呂好きの人、みんな楽しめるし、普通にギャグマンガとしても秀逸と思う。
そういえば、この前、研究室のフランス人留学生V君が、日本の銭湯に行ってみた話をしてくれた。あまりのお湯の熱さにびっくりしたとか。だろうなあ、、。東京の銭湯のお湯の熱さって、普通に日本人の私でも熱くてびっくりするもんなあ。大江戸温泉物語とか、スポーツクラブのお風呂は普通のお湯の温度だけど、月島の銭湯のお湯の熱さは足をつけた瞬間飛び上がりそうに熱かったもんなあ。どうやら、お湯の熱さを我慢して涼しい顔してるのが江戸っ子らしさ、、らしいから。こんなお風呂にタイムスリップしたら、それはそれできっとルシウスもびっくりしただろうなあ。
この作品でヤマザキマリさんのマンガがすっかり好きになり、他にも何冊か買っちゃったんだけど、それもとても面白かった。そのレビューもまたこの次に。