川は静かに流れ

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『ラスト・チャイルド』を読んで、そのあまりの出来の良さに感動し、同じ作者、ジョン・ハートの作品を読みたくて、買ってきた『川は静かに流れ』。作品としては、ラスト・チャイルドの前に書いていた作品らしい。やはり、同じように、家族の葛藤や家族をとりまく問題、友情など、この作者らしい丁寧に書き込まれたストーリーが素晴らしい作品だった。
アマゾンの紹介記事を引用するとこんな感じ。

「僕という人間を形作った出来事は、すべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」
殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

実母はすでに亡くなり、故郷にいるのは、自分を勘当した父、そして義母と義理の兄弟。無罪判決は出たものの、殺人容疑をかけられて勘当され、故郷を去っていた主人公。ふるさとに戻るつもりはなかったのに、親友の電話がどうしても気になって、5年ぶりに故郷に戻ってみると、、。というところで物語が始まる。
この主人公ってマザコンなんだけど、実は仲違いした父親のこともすご〜く好きみたいだ。その父子の関係がとても気になった。最後、犯人がわかったあとも、事件の謎解き以上に、この主人公の今後の生き方が気になった。家族の再生はどうなるかなあ、、とか。そして、『ラスト・チャイルド』でもそうだったけれど、この作者の作品で、男の子同士の友情ってのがものすごく大切なものとして描かれてる。ちょっと感動してしまったり。一緒にやんちゃしていた不良仲間でも、友情は特別大切なものなんだなあ、、。
ミステリとしても楽しめるけれど、家族の崩壊と再生を丁寧に描いた作品として、すごく私好みだった。これも、一気に読んでしまった。ミステリ好きな方に、ぜひ、おすすめ。