濡れた魚〜読了

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚、上下巻無事読み終えた。いや〜。なかなかに面白かった。前の日記にも書いたけど、訳者後書きから、この本の内容をちょこっとだけ紹介。

ドイツの作家フォルカー・クッチャーの『濡れた魚』をお届けする。1929年のベルリンを舞台にした警察小説だ。主人公のゲレオン・ラート警部は地方都市ケルンから流れてきたやさぐれ刑事。大都会ベルリンにどうも馴染めず、風紀課に配属されて腐っている。目指すは花形の殺人課。
そんな彼の下宿に、ある夜、得体の知れないロシア人が押しかけてくる。しかも数日後、その男が無残な屍体となって発見された。ラートは、これぞ千載一遇のチャンスとばかり、ひとりで秘密捜査に乗り出す。ベルリンの夜の歓楽街に暗黒街、身体を張った秘密捜査は思わぬ展開を見せることに。
時代は数ヶ月後に大恐慌が始まる、黄金の1920年代の最後の輝きに満ちている。猥雑で、絢爛で、なんでも飲み込む貪欲な都市ベルリン、そこに蠢くギャングに共産党員にナチ突撃部隊員。彼らは富を求め、クーデターを目指し、権力に食指を動かす。

賑やかで華やかで、でも一方裏に回るといろんな人の欲望が渦巻いていてかなり危ない街、ベルリン。そんな1929年のベルリンが舞台で、清濁併せ呑む感じのダークヒーロー系主人公、ラート警部。一癖も二癖もある、彼を取り巻く人々。それにしても、下巻の怒濤の展開はすごかった。「え!?マジで!?全然そんな風に思わなかったのに〜!」と意外な展開に、めちゃ驚いた私はきっと作者の思うツボだったんだろうなあ。ドキドキハラハラしながら、ページをめくるのももどかしい、、って感じだった。いや〜、面白かった。

蘇州夜曲 (あすかコミックスDX)

蘇州夜曲 (あすかコミックスDX)

ロシア革命で祖国を捨てて流れてきた美しい歌姫、っていうところで、私は森川久美の『蘇州夜曲』を思い出した。中身は全然違うんだけど。蘇州夜曲はやはり第二次世界大戦前の上海を舞台にした漫画。そこでも、ロシアから流れてきた美しい歌姫が、上海の夜の街の権謀術数の中にいたんだったよなあ。きっとその頃のベルリンにも、上海にも、いろんな人が流れ着いてきてたんだろうな。
いろんな歴史を感じさせてくれ、しかもミステリとしての読み応えも十分な『濡れた魚』。特にドイツ好きの人にはおすすめな作品。さて、次は何を読もうかな。