王妃に別れをつげて

王妃に別れをつげて (白水Uブックス 180)

王妃に別れをつげて (白水Uブックス 180)

去年の暮れに封切られていた映画『マリーアントワネットに別れをつげて』の原作本を先日から読んでいて、読み終えた。中身はこんな感じ。

フランス革命に言及する際、歴史家たちはパリで何が起こったかについては散々語ってきた。しかし、当時フランス王国の実質的な首都機能を有していたヴェルサイユがその時をどう迎えたのかについては、ほとんど語られてこなかったと著者は言う。王は、王妃は、一体どうしていたのか……。
本書は、サド侯爵やカサノヴァなどの十八世紀文学の専門家が、当時の資料などをもとに、マリー・アントワネットの朗読係という魅力的な人物を創造し、彼女の目を通して、ヴェルサイユという巨大な富と権力の牙城が一瞬にして崩壊した激動の三日間を描き出した、歴史フィクションである。
物語の中心は、朗読係アガート・シドニーと彼女が心酔する王妃マリー・アントワネット、そして王妃が深く愛したポリニャック夫人の三名。これほどまでに、情熱的で魅惑的なマリー・アントワネット像があっただろうか。フェミナ賞受賞作。映画『マリー・アントワネットに別れをつげて』原作。

本の中身は、フランス革命から3日間をものすごく細かく描いていて、すごく興味深かった。豪勢な王の食卓の内容だったり、貴族たちの贅沢と浪費ぶりだったり、宮殿は豪奢で表面上は美しいけど、実は悪臭がいっぱいで、ネズミがはびこってる様子だったり、とか。いろんな細かい描写がひとつひとつとっても興味深い。私たち世代は、たいていみんな“ベルサイユのばら”を読んでいて、時代背景や登場人物の事を詳しく知っているだけに、余計この本の内容を面白く読めるんじゃないかなあって思う。どうしても、登場人物の顔が、ベルばらの顔で思い浮かんじゃうんだけどね。マリーアントワネットも、ルイ16世も、ポリニャック夫人も。今思うと、ベルばらってちゃんとしっかり歴史に基づいて描かれていたんだなあ。ベルばらで読んだ、“結婚のサインにしみをつけてしまったこと”や“首飾り事件”の事など、いろいろ思い出しつつ読めたので、本当に面白かった。アントワネットものって映画でも本でもいっぱい出ているけれど、これは三日間のベルサイユ宮殿の様子にしぼって、すごく細かい描写がされているところがとても面白く感じた。ベルばら好きの人にははまる内容だと思う。

映画は、見てないんだけど、こっちもDVDになったら借りてきて見てみたいな。旦那の知り合いのフランス史の先生も一押しだったらしいしね。