首斬り人の娘

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

『首斬り人の娘』というドイツが舞台の歴史ミステリを読んだ。小説の時代設定は、中世の雰囲気が色濃く残る17世紀半ば。舞台は、ミュンヘンにほど近い田舎町ショーンガウ。ショーンガウといえば、1589年から1592年まで大規模な魔女狩りが行われたことで有名な街。この魔女狩りで63人の女性が処刑されたとのこと。ドイツに住んでいた時、私もショーンガウに遊びに行ったことが有るけれど、今はそんな暗い歴史の面影もない、美しい田舎町だった。
本のあらすじはこんな感じ。(amazonのHPより。)

1659年。ドイツ南部の街ショーンガウで子供が殺された。遺体にあった奇妙なマークを見た住人たちは、魔女の仕業だと殺気立つ。そして産婆のマルタが魔女と疑われて投獄される。だが、処刑吏クィズルとその利発な娘マクダレーナは、彼女の無実を確信していた。マクダレーナに恋する医者ジーモンとともに、二人は事件の真相を探りはじめる。しかし、そこに第二の殺人が起きる。街の有力者たちがマルタの処刑を求めるなかクィズルらは真犯人を突き止めることができるのか? ドイツ発のベストセラー歴史ミステリ。

作者の祖先が、ショーンガウの処刑人だったとのこと。また、この本のモデルになった処刑人が実在したとのこと。著者はいろんな歴史資料をしっかり読み込んだ上で、この作品を書いたようで、作品に深みがあってとても面白かった。実在の人物をモデルにした上で、その上に築いたフィクションの話をふくらませるのは、日本で言うと鬼平みたいな感じかな。歴史背景がしっかり描かれていて、その時代の様子がわかるのも興味深いし、中身にはアクション的な要素も有って、とても楽しく読めた。この本を夢中で読んでいて、また駅を乗り越しちゃう、、ってことをやらかしちゃったけど。それだけこの本にはまったってことだと思う。歴史ミステリって分野も本当面白いな。