グランド・ブダペスト・ホテル

予告編見た時から面白そうだなあって思っていた映画、『グランド・ブダペスト・ホテル』を見た。予感通りとっても面白かった。さすが、『ダージリン急行』のウェス・アンダーソン監督。映像もすごくきれいで洒落てるし、ウィットに富んだコメディ。しかも、笑うだけじゃないんだよね。ちょっといろいろ考えさせられたりする。あらすじはこんな感じ。

美しい山々を背に優雅に佇む、ヨーロッパ最高峰と謳われたグランド・ブダペスト・ホテル。その宿泊客のお目当ては"伝説のコンシェルジュ"グスタブ・Hだ。彼の究極のおもてなしは高齢マダムの夜のお相手までこなす徹底したプロの仕事ぶり。
ある日、彼の長年のお得意様、マダムDが殺される事件が発生し、遺言で高価な絵画がグスタブに贈られたことから容疑者として追われることに。愛弟子のベルボーイ・ゼロの協力のもとコンシェルジュの秘密結社のネットワークを駆使してヨーロッパ大陸を逃避行しながら真犯人を探すグスタヴ。殺人事件の真相は解明できるのか!?

ヨーロッパのクラシックホテルの魅力満載で、それを見るだけでもまず楽しい。コンシェルジュってどこのホテルでもキーマンだよね。主人公の名コンシェルジュグスタフは、コンシェルジュのネットワークを使って逃亡したり真犯人を追い求めたりするんだけど、コンシェルジュってなんとなくそのくらいの力やネットワークを持ってそうな感じがするよね。
私も、いろんなホテルを泊まり歩いて、いろんなコンシェルジュに会ったなあ。だいたいは、そこの街でおすすめのレストランを教えてもらったり、そこを予約してもらったり、、なんて事が多かった。NYのホテルでは、コンシェルジュに「夜景のきれいなおすすめスポットを教えて」ってお願いしたらちょっと考えて二カ所くらい教えてくれた。そのうちの一軒、高層ビルの最上階レストランに行ったんだけど、本当に夜景がとってもきれいで、さすがはコンシェルジュだなあってちょっと感動した。それってもう20年くらい前の話なんだけど、その頃ってまだインターネットもほとんどなく。自分で集められる情報って地球の歩き方くらいだったから、コンシェルジュの情報って本当にありがたかったよなあ。今はある程度自分で情報を集められる時代だけど、それでもコンシェルジュの持ってる情報って確実で特別だなあってしみじみ思う。あと、ロビーボーイって存在がすごいなって思ったのはバンコクのオリエンタルホテル。バンコクのオリエンタルホテルでは、手に絵はがきを持ってロビーできょろきょろしただけで、さっと来てくれて郵便切手を貼って投函してくれた。あのサービスの完璧さは本当すごいなってしみじみ思った。映画の中のロビーボーイ、ゼロを見て、急にそのオリエンタルホテルのロビーボーイの事を鮮明に思い出した。ホテルの思い出って結構そういうホテルスタッフとのふれあいが大きかったりするなあ、、って思う。
映画の中の、グスタフや、ゼロ、悪役の男、みんなすごく憎めなくて笑えるんだけど、そういうコメディでありながら、ひたひたと忍び寄る戦争の影、反ユダヤファシズムなんかもどこか感じられて。なんだか終わってからいろいろと思ってしまう映画だった。見てよかったなあ。パロディの数を数えるだけで楽しいと旦那も言ってたけど、本当、おすすめの一作。時間があれば是非DVD借りてきて見てほしいな。