愛の裏側は闇

愛の裏側は闇(3)

愛の裏側は闇(3)

大作の『愛の裏側は闇』もいよいよ最終巻の3巻を読み始めた。ようやく前半部分を読めた。3巻のあらすじはこんな感じ。

1959年秋、シリア。好成績で高校を卒業し大学進学が認められたファリードは、友人の影響で共産主義青年同盟に入る。同じく大学に進学したラナーとは秘密裡に交際をつづけていたが、混乱を極める政情の中で秘密警察に逮捕されてしまう。そして共産主義を捨てることを拒否したためダマスカス郊外の収容所に送られ、日常的に虐待を受ける獄中生活が始まる。一方ラナーは、収容所送りとなったファリードを想いながら暮らすしかなかったが、家族の卑劣な企てによりいとこに暴行され、無理矢理結婚させられる。心を閉ざして結婚生活をやりすごそうとするが、ついに精神に変調を来しはじめてしまう。それぞれに訪れた地獄の先に待つものとは―。今世紀最大級の世界文学、堂々の完結。

主人公ファリードはどこまでもまっすぐな男で。秘密警察につかまって共産主義を捨てる文書にサインしろと言われて拒否したために、獄中生活を送ることになり。そのあたりってなかなかに読んでいてつらかった。恋人のラナーは無理矢理いとこを結婚させられるし。でも、この頃のシリアって結局しょっちゅうクーデターが起こって体制がひっくり返るんだよね。ファリードも幸い2年で釈放されるんだけど。そこまでして守り抜いた共産党から、結局離党させられる事になってしまうし。彼って本当に純粋で、考え方がリベラル過ぎるんだよね。彼が目指している世界は、真に平等で自由で、男女も全く平等な権利を有する社会。アラブ世界でもそういう理想を信じて活動してる人がいたんだなあ、、って、すごく新鮮に感じてしまった。彼の考えはあまりにも純粋すぎて、理想が高すぎて、共産党の幹部からはにらまれちゃうし。共産党を離党した後も、せっかく学校の教師になったのに、体罰をする校長先生に面と向かって文句を言ったために、うとまれてイスラエルとの国境の村に左遷されてしまう。イスラエルとの国境ではしょっちゅうこぜりあいがあり、爆弾がバスに命中するなど、本当に死と隣り合わせの場所。でも、そこで彼は一生懸命子供達の教育にたずさわる。その一方、無理矢理いとこと結婚させられたものの、こっそりダマスカスで逢い引きしていた恋人ラナーとは、会えなくなってしまい、彼女は精神に変調をきたし始めて、、。
この先どうなるんだろう。ドキドキしながら読み進めてる。どこまでも純粋なファリードとラナー。なんとか二人に幸せな結末が訪れてほしいと思いつつ。最後まで読むのがこわい気がしてきた。