漆黒の森

漆黒の森 (創元推理文庫)

漆黒の森 (創元推理文庫)

ドイツ、シュバルツバルト近くの村が舞台、酒寄進一さん訳のドイツミステリ、、となると読みたいでしょ!と、旦那が本屋さんで買ってきてくれた。早速読んでみたけど、なかなか面白かった。あらすじはこんな感じ。

取材で黒い森(シュヴァルツヴァルト)を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て帰郷したばかりの妊婦だったが、胎児が消えていた。村に伝わる“鴉谷(からすだに)”の不吉な言い伝えや、過去の嬰児失踪事件と関わりが? 堅物の刑事と敏腕女性編集者が、閉ざされた村での連続殺人を解き明かす。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞の清冽なデビュー作! 

閉鎖的で、古くからの不吉な言い伝えが残る村での事件。かつて無実の罪で死に追いやられた旅人の呪いが、神隠しを呼ぶ、、なんて、まるで横溝正史の世界やん!って思ってしまった。舞台はドイツなんだけど、そう思うと、八つ墓村のような兵庫県の山奥のとんでもない田舎の村を思い浮かべてしまった。でも現代だし、都会的な美人、ハンナが出てくるからなあ、、って思って読んでると、そう!頭に浮かんだのは『トリック』。そうだ、トリックの世界だわ。そう思うと、ハンナは仲間由紀恵、モーリッツは阿部寛かしら。なんて、勝手に脳内変換しつつ、わくわくしながら読み進めた。因習の残る田舎って意味では、日本の山奥も、ドイツの片田舎も似たところがあるもんだなあ、、ってしみじみ。でも、ちゃんと科学捜査もやってるところが、さすが現代のドイツだな、って思った。とても面白い作品だった。