フットノート

フットノート [DVD]

フットノート [DVD]

wowowでやっていたイスラエル映画。旦那が録画しておいてくれた。これが私にはとってもツボな映画だった。あらすじはこんな感じ。

「ボーフォート レバノンからの撤退」のイスラエル人監督ヨセフ・シダーが監督・脚本を手がけ、2011年・第68回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞、第84回アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた人間ドラマ。大学教授のエリエゼルは長年にわたって宗教学を研究してきたが、今ひとつ成果を出せずにいた。一方、同じく宗教学を研究する息子のウリエルは、学会から高く評価されていた。そんなある日、エリエゼルに有名な賞が贈られるとの報せが届く。しかし、ウリエルは学会から呼び出されて、エリエゼルの受賞が間違いだったと知らされる、受賞するのはウリエルだと。彼はエリエゼルに真実を告げることができるだろうか?

ユダヤ教タルムードの研究家である父と息子。父はこつこつ毎日文献を読み、地道な研究を続けている地味なタイプの学者さん。せっかくの研究成果をようやく発表しようとしたところ、別の学者さんに先を越される発見をされ、自分の研究成果を発表する時機を逸してしまう。そして、何度もイスラエル賞の候補に名前が挙がるものの、審査委員長が宿敵の教授で、受賞は望み薄とあきらめていた。息子は、父の姿を見て研究者に憧れ、同じタルムード研究の道に進んだものの、父と違って世渡りもうまく、学生への指導もソフト。研究も、とりあえずまず形にして論文をばんばん発表して地位を固めてきたのかな?という感じだ。いろいろ賞を受賞しているし、学会での評価も高い。そんな対照的な二人の姿。お互いに意識してるし、評価もしてるんだけど、何かビミョーな親子関係。
そんな時、父の携帯に思わぬ知らせが。ずっとあきらめてきたイスラエル賞の受賞の知らせの電話が教育省からかかってきた。地味でこつこつ、偏屈タイプの父だけど、さすがにうれしさがかくせない。でも、、そこに思わぬ落とし穴が。なんと、本当にイスラエル賞の受賞者に選ばれたのは息子の方。同じ名字の父のところに間違って電話がかかってきたのだ、、。
ええええ!それはあかんやろ!って映画を見ててドキドキした。だって、あの偏屈な父。いろいろしんどい思いもしてきたけど、研究一筋地道に頑張ってきた父がようやく報われる時が来た!と思ったら、、息子と間違えて電話しましたって、、。それはあかんでしょ!そんな言い訳通用しないって。誰が間違えたの?教育省の大臣の秘書?大学の事務の人が間違えて携帯番号教えたの??いったいなんでこんな重要なポイントで、こんな間違いが起きるかなあ。などと、画面の前で思わず本気で怒りそうだった私だよ。
この映画を見てて、日本の学士院賞ってどうなんだろうなあ、、なんて思ったりした。やっぱり審査委員の先生の個人的な好き嫌いや思惑が影響しちゃったりするんだろうか、、するんだろうなあ、きっと。
毎日コツコツ図書館で古い文献のマイクロを見てる父の姿。家に帰ったら外の騒音が聞こえないようにヘッドホンをして書き物をしてたりして。それと対照的な息子は、スカッシュを楽しんでるのがいかにもエリートっぽいなあ、、って思ったりして。なんか細かいディティールもすごくよくできてて秀逸だった。親子の微妙な関係や、お互いの嫉妬心、心の奥底の愛情、そして学者世界のややこしさ、、。結局イスラエルも日本も、切り取った断面てすごく似てるよなあ、、ってしみじみ思った。
そして、ラストにはまたビックリ。ええええ??ここで終わりですか??この後どうなったん??という終わり方。ラストは視聴者に考えてもらおうって事なのね。いろんな意味でとても面白い作品だった。wowowもナイスな映画を放送してくれるなあ。