- 作者: フランツ=オリヴィエジズベール,Franz‐Olivier Giesbert,北代美和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/08/11
- メディア: 単行本
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主人公で語り手のローズはマルセイユで人気のレストラン“ラ・プティット・プロヴァンス”のオーナーシェフ。105歳のいまも現役で厨房に立つ色気たっぷりのスーパーおばあちゃんだ。オスマン帝国支配下の黒海沿岸、両親の営む農場で、料理上手のおばあさんに見守られて過ごした幸せな幼年時代は、1915年に開始されたトルコによるアルメニア人大虐殺で終わりを告げ、家族全員を殺害されたローズ流転の生涯が始まる。道連れは逃亡の途中で出会った山椒魚のテオただひとり。“テオ”はギリシャ語で“神”を意味する。美貌と料理の才に恵まれたローズは、性欲と食欲という人間の二大欲望を武器に、束の間の幸福と歴史の大悲劇のあいだを振り子のように揺れながら、「一瞬一瞬をそれが最後の瞬間であるかのように」生=性を謳歌して、長い生涯を軽々と生きていくのである。
ナチスによるユダヤ人の虐殺はよく知られているけど、アルメニア人も相当ひどい目に遭ってるんだね。東洋の端っこにいる日本人からしたら、アルメニア人がどんな感じの人かもなかなか思い浮かばないんだけど。ヨーロッパや中東を舞台にした小説にはよくアルメニア人が出てくるよね。以前ものすごくはまって読んでいたシリーズ本『愛の裏側は闇』でも、大虐殺から逃れてシリアに流れてきたアルメニア人の床屋さんがいたなあ、、とか思い出した。『失われた夜の夜』というマルセイユを舞台にした小説にも、アルメニア人の移民が出てきてたっけ。マルセイユあたりに逃げてきたアルメニア人も結構いたのかも。そういう歴史の常識みたいなのをもっとよく知っていたらこの小説がもっと楽しめるのかな。でも、あんまり歴史を知らない私が読んでもすごく楽しめた。実在の人物をどんどん登場させてるところがすごい小説だなあ、、って思う。サルトルとボーヴォワールについても言いたい放題だし。
ローズは、最初トルコ、そこからフランスへ渡りマルセイユ→オート・プロヴァンス→パリ→ベルリン→パリ→ニューヨーク→シカゴ→北京→マルセイユ、、と渡り歩いていく。彼女の精神力と生命力の強さは本当すごいな。その人生はまさに冒険そのもので。本当にこんな人がいたかもしれない、、なんて思ってしまうくらい、この小説の世界には引き込まれた。とても面白かった。
旦那には、高校のとき、サイドリーダーでSaroyan読んだでしょ、忘れたのと言われたが。すみません、すっかり忘れてました。