白雪姫には死んでもらう

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

ここ最近、私がすっかりはまっている、ドイツの警察小説。オリヴァー&ピアシリーズ。『悪女は自殺しない』『深い疵』に続く第三弾。(ドイツでは本当は第四弾。未翻訳のものがあるみたいで、早く翻訳してほしいなあ。)期待に違わず、この作品もとっても面白かった。内容はこんな感じ。

空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、故郷に戻っていた。彼は冤罪だと主張しつづけていたが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説

期待通り、最後までどんどん引き込まれてしまって、途中でやめられない!と思うくらい夢中で読んじゃった。電車乗り越しそうになるし。かなりヤバかった。
フランクフルトから比較的近いのに、古くからの因習が残る狭い村社会。そこで、お互いがお互いを監視してるような息苦しい世界。ちょっと横溝正史チックなところも垣間見えたり。そこに戻ってきた殺人犯の罪を着せられた男。彼とその家族は、村八分どころか集団虐めに遭ってるような状態で。でも、そもそもその11年前の事件って本当に彼が犯人だったの?という疑問を持ってしまう展開。村に戻ってきた父親に引き取られ、都会のベルリンから引っ越してきたゴス系怪しいファッションの高校生元気娘が、事件に興味を持って、ちょっとした探偵ばりに絡んでくるんだけど、その子がまた結構魅力的で、“大丈夫??”とハラハラさせられる。でも、多少殴られたくらい平気だったりするのが頼もしいわ。「このくらい平気!ベルリンではもっと危ない目に遭ったんだから。」なんてタバコふかしながら突っ張ってる彼女がなんか可愛いし、とっても魅力のあるキャラだった。
警察側のオリヴァーとピア。ピアは相変わらず頑張ってるし、勘も鋭い。ピアカッコいい!!と読んでてわくわくさせてくれる。それにひきかえ、オリヴァー、大丈夫??と思っちゃった。私生活がここまで仕事に影響しちゃったらダメダメじゃん。でも、もう3作目で、彼がどれほど家族を愛し、奥さんを愛してるか知ってるだけに、しゃーないかな、、とも思っちゃうんだけどね。オリヴァー、しっかりしてよ!頑張れ!って何度も途中で言いたくなったよ。1作目2作目はかっこよかったんだけどね〜。次作では復活してくれるものと期待しちゃう。
それにしても、この作者、女性だからかもしれないけど、登場人物の女性がみんな生き生きしてて魅力的。悪人まで女性は結構カッコいい。それに比べて、男連中はダメンズばっかりじゃん。そろいもそろって、、と言いたくなる。でもまあ、そこがまたこの作品の魅力なんだけどね。あ〜。面白かった。読んでスッキリした。次の作品、早く翻訳してくれないかなあ。酒寄先生に直訴するお手紙を書いちゃおうかとマジで思ってるくらい。