玉手箱


この文箱には、例の色紙をはじめとして、私のとっても大切なものたちが入っていた。いつまでも続くと思っていた熱い季節が記された、古い手紙もいっぱい入っていた。すべてをつなぐ不思議な玉手箱だった。
そもそも、これらの古い手紙たちって、実家にいた頃友人や元カレにもらった手紙なんだけど、結婚する時に処分しきれなかったものを、こっそり新居に持って行ったもの。その後、海外転居の際に、置き場のない荷物を詰めて旦那の実家に預けたんだけど、手紙も、段ボールの奥底に、確か紙袋に入れてガムテープでぐるぐる巻きにして隠していたはず、だった、。そうだったはずなのに、いつの間にか、A型の義父が様々な荷物を整理してくれたようで、なぜか古い手紙たちは、きれいな文箱に入れて保管されていた。もしかして、お父さん、この手紙、、読んだ??いや、読まないまでも差出人の名前とかは見たよね?ひえ〜!!!と思ったけど。ま、そこは考えないでおこう。
それを今回旦那が持って帰ってきてくれた。旦那に「もしかして、読んだ?」と聞いたら「読むわけないでしょ!不気味だし。」だって。ま、そんなもん今更興味無いよね、確かに。

箱を開けてみてとりあえず、元カレの手紙はソッコー箱に戻した。で、取り出してきたのは、お友達の手紙。高校時代に、レポート用紙に鉛筆で書いてお友達と交換したりした、いろんな手紙がいっぱい出てきた。まるでタイムカプセルみたいだね。
すでに亡くなったZちゃんからの手紙もいろいろ出てきて。「ああ、、この頃、こんな事思ってたんだ。」と思わず熟読した。ちょうど高校3年生の頃や、大学1年生の頃の手紙だった。懐かしいようなくすぐったいような恥ずかしいような。読んでて赤面しちゃったよ。
他の友人の手紙もいろいろ出てきて。ああ、、そういえば高校の時、この子とこんな手紙をやりとりしていたなあ、、ってすごい懐かしかった。なんか恥ずかしくなるような詩とかいっぱい書いてて。今本人にこの手紙を見せたら、ひっくり返るんじゃない??と思うとちょっと笑えるんだけど。でもきっと自分はその子宛てにもっと恥ずかしい事を書いてたんだろうなあ、、って思うと。赤面。彼女は私の手紙をとっていたりしませんように。
この人誰だったっけ?と思う手紙も発見。そういえば、、と思い出した。お友達の塾の先生で、その頃京大生だった人の研究室に一緒に遊びに行ったんだった。その時にシュークリームを持っていったお礼の手紙だった。あまりに懐かしく、その人の名前を思わず検索してみたら、、大学の教授になっておられたんだけど、3年前に亡くなられていた。そうかあ、、。って。ほんの一瞬、人生の中ですれ違っただけの人なんだけど、懐かしいような寂しいような。人生、それぞれだね。