少年の名はジルベール

少年の名はジルベール

少年の名はジルベール

ジルベールが表紙のこの本。ジルベールにこんな目で見つめられたら、ついつい買っちゃうよね。『風と木の詩』で有名な竹宮惠子先生の自伝。中身を読んでいて、その時代感やその頃の漫画をよく覚えている私にとっては本当に興味深かった。あっという間に読んでしまった。あまりにあっという間に読んじゃったので、ちょっともう一度じっくり読み返そうと思う。

幾つかの編集部に「1年間だけ休みます」と休業の連絡をして、この学生運動について考える時間を持った。多くの人々と議論し、集会にも参加した。学内を占拠するようなグループとも接触し、考えた結果、私なりの答えにたどり着く。
「私の革命はマンガでする」
きっかり1年後、「総括」をした私は、大学を辞めてマンガ家になると決めたのだった。

まず、最初の方のこのフレーズに「竹宮先生、かっこいい!」と思わず声に出しちゃったよ。竹宮惠子先生、萩尾望都先生、山岸凉子先生、この方達のマンガはまさに革命だったと思う。
デビューしたての頃、竹宮先生と萩尾先生が同居していた事も知らなかった。萩尾先生が、早くから評価され、その漫画に対して焦りみたいなものを感じていた竹宮先生の正直な告白にもちょっと驚かされた。そういえば、この前のフラワーズでの対談で、山岸凉子先生はごく最近までポーの一族をちゃんと読んでいなかった、、っておっしゃってたなあ。読むのが恐かったと。それだけ同世代のマンガ家にとって、萩尾先生の存在は大きかったんだ。
風と木の詩』はかなり早い段階から構想ができていて、その世界を描くためにいろいろ編集者と交渉してはボツにされていたそうだ。今でこそBLはかなり人気のあるジャンルではあるけれど、そもそもその開拓者が竹宮先生だったんだものなあ。
で、なんとか自分の描きたい『風と木の詩』を通すために、作戦として人気の出る作品を考えて練り上げたのね。それが『ファラオの墓』だったのか。私、まんまとその作戦にはまってたわ。『ファラオの墓』、大好きで夢中で読んでたもん。で、その直後、『風と木の詩』を読んで衝撃を受けたし、思わずどきどきして、親に見られないように隠した覚えがある。もう大学生になっていたので、別に読んでも問題ないと思うんだけど、なんだか人に知られたらやばいような、そんなドキドキ感が大好きだった。そして、そのストーリーの哀しさや美しさにすごく惹かれた。なんだかもう一度『風と木の詩』を読み返したくなったよ。まん喫にでも行って読みたいなあ。