ヌメロ・ゼロ

ヌメロ・ゼロ

ヌメロ・ゼロ

薔薇の名前』の作者、ウンベルト・エーコの遺作、『ヌメロ・ゼロ』を読んだ。あらすじはこんな感じ。

「握りつぶされた真実を告発すること」を目的とした新聞の創刊を目指し、パイロット版として「ヌメロ・ゼロ(ゼロ号)」の編集に取り組む記者たち。しかしその新聞発行の裏には、出資者の利益を図る企みが潜んでいた。そして編集会議で日々繰り広げられるのは情報操作のテクニック。そこに見られるのはまさしく、歪んだジャーナリズムのお手本のような実態だった。一方で、未解決のテロ事件、ローマ法王の死をめぐる疑惑、ムッソリーニをめぐる陰謀説など、歴史の闇に葬られ忘れ去られた事件にふたたび光をあてようと調査を進める一人の記者。彼の命が狙われることで事態は意外な展開に―知の巨人、最後の傑作!

この本の帯の書かれてるキャッチコピー、“私たちはすぐ忘れる。そして無関心になる。悪しきジャーナリズムが狙うのはそこだ!”がとても印象的だ。この本の中に描かれている情報操作の方法が、「なるほど、そうかも、、。」と思えるところがちょっと空恐ろしい。エーコの描く皮肉な視点を強く感じる。マスコミだけではなく、今はネットを使った情報操作も出来るだろうなあ。何が正しいのかを判断するのってますます難しくなっている気がする。
イタリアの、実際にあった事件を振り返りつつ、そこの裏にはこんな事があったのではないか、、という推理。すごく興味深い。「そういえば、そんな事件あったっけ、、」と忘れてる事が多いんだけど、イタリア史をよく知る人にはもっと面白いんだろうな。ミステリとしてもとても楽しめた。やっぱり、さすがはエーコだ。