悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事

悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事

悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事

中東やイスラエルに興味だけはあるので、こんな本を読んでみた。『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』。内容はこんな感じ。

祖国にあって祖国を喪失し、敵国の市民として生きる…。総人口の二割に及ぶイスラエル在住パレスチナ人たちの不条理な現実。サイード(幸せな男)という名のありふれたパレスチナ人男性を主人公にイスラエル建国から70年代の中東戦争頃までのパレスチナの現実をシニカルに描く、エドワード・サイード絶賛のパレスチナ文学の代表作。

パレスチナ人作家ハビービーの小説。ハビービーは、イスラエル建国後、難民とならず国内にとどまったパレスチナ人、いわゆる“アラブ系イスラエル人”。そういう人がイスラエルの中には2割もいるらしい。そんな彼が、諧謔的な視点を持って、イスラエルの中で生きるパレスチナ人の姿を描いていて、とても興味深い。そして、この訳者の山本薫さんが、ものすごくたくさん注釈をつけてくれていて、それを読むだけでも結構勉強になる。地理的な事も歴史的なことも、知らない事だらけだなあ、、ってあらためて思った。脚注は、本文よりちょっとポイントが小さくて、最近老眼な私には、読むときに焦点あわせるのがちょっと辛かったけど。それを乗り越えても、脚注はしっかり読んで勉強するべき、、と思った。まだまだ世の中、知らない事だらけな私だ。