蟹と彼と私

蟹と彼と私

蟹と彼と私

先日、荻野アンナさんが、テレビのインタビュー番組で、事実婚パートナーのガン闘病と、両親の介護について話しておられるのを見た。パートナーの看護に、両親の介護。たぶん、言葉で表せないほどものすごく大変だったと思う。
そんな体験をもとに書かれた小説、『蟹と彼と私』がとても気になったので、読んでみた。
読み出して、なんだか懐かしく思い出した。そういえば、荻野アンナってこういう文体だったよなあ、、って。そして、この人の駄洒落好きも思い出した。とても暗くて絶望的になるような内容なのに、なぜかがん細胞1とがん細胞2のかけあい漫才があったりして、、。暗さと不思議な軽妙さ、ちょっと難しいファンタジー、いろんなものが混じっていて。でも、とても心に響く内容だった。ただ、、途中とても読んでられないくらいつらくて。ダメ、私無理、これ以上読めない、、って何度か途中中断しちゃった。そのくらい、、壮絶だった。やっぱり。そりゃ荻野アンナ、鬱にもなるよね、、って。
この作品には“パタさん”として登場している、アンナさんのパートナー。すばるの編集長さんは、55歳で亡くなったんだね。今の私と同い年。そう思うとね、なんだかいろいろ考えこんでしまった。まだまだやりたい事あっただろうな。アンナさんを残して行くの、心残りだっただろうな。なんていろいろ。
死ぬことって、、本当に大変な事だよなあ、、としみじみ思ってしまった。自分はどんな形でどんな最期を迎える事ができるんだろう。なんてね。いろいろ考えずにはいられない深い内容だった。さすが荻野アンナ。深いな。