左京区七夕通東入ル

この前読んだ『左京区桃栗坂上ル』がとても面白くて私的にはすごくツボだったので。シリーズ第1作の『左京区七夕通東入ル』を読んでみた。
そっちは文学部の女子学生、花ちゃんが主人公だけあって、すごくストレートに胸がキュンキュンしてしまうようなストーリーだった。いやあ、、良いなあ。甘酸っぱくて。あらすじはこんな感じ。

「たっくんて呼んでいい?」京都での学生生活も4年目を迎えた七夕の夜、主人公の花は友人のアリサから合コンに誘われ、たっくんと出会う。三条木屋町の店にひとり遅れてあらわれた彼は、その場にはそぐわない一風変わった雰囲気の持ち主だった。文系の学生で数学嫌いの花にとって、理学部数学科のたっくんは謎に満ちていて、彼の暮らす学生寮の友人たちもかなりキテレツな理系男子ばかり。食べ物にうるさい巨漢アンドウくんの研究対象はミクロの遺伝子、おかっぱ頭のヤマネくんは工業化学科で専攻テーマは爆薬。ゆかいな仲間たちに囲まれ、花はこれまで経験しなかった不可思議でにぎやかなキャンパスライフに巻き込まれていくが、いまどき携帯電話も持たないたっくんとの距離はゆるやかにしか縮まらない。バイト先の古着屋の店長・陽子さんらの助言を受けつつ、やがて花は恋のライバルが「数学」であることを知る――。寮でのたこ焼きパーティー、鴨川デルタでの花火、自転車デート、学園祭、卒業旅行……学生の街・京都を舞台に、かけがえのない時間と仲間たち、ほっこりと育まれる等身大の恋を描く。甘酸っぱい記憶を呼びさますたまらなくキュートな青春恋愛小説。

まさに、等身大のキュートな青春恋愛小説で、読んでてほんのりするような、心の奥がぽかぽかするような、楽しい青春小説だった。小説としての完成度は『桃栗坂』の方が上だな、、って思ったけれど。一人一人のキャラクター造形が、桃栗坂の方がハッキリ際立っていた。それだけ数年間、この物語が、作者・瀧羽麻子さんの中で熟成されていたのかもしれない。でも七夕通の方は、フレッシュで、なんだかキュンキュンするからそれも良いなあ、、と。職場の、学生くんたちも、こんな恋愛してるのかなあ、、若いっていいなあ、、うらやましい〜。などと勝手に想像したりして。それもちょっと楽しい。
『桃栗坂』に出てきていたたっくんと花ちゃんはこういう風に愛を育んでいたのか、、とか。安藤君、山根君がこんな人だったのね、、とか。なるほどあの時の花ちゃんと安藤君の喧嘩、花ちゃんの立場から見るとこうだったのね、、とか。視点が変わる事によってまた面白さが加わって、とても楽しく読めた。
で、次は『左京区恋月橋渡ル』を読もうかと思ったんだけど。『サンティアゴの東 渋谷の西 』を図書館で借りれたので、そっちを先に読もうかな。