『いろは匂へど』

いろは匂へど (幻冬舎文庫)

いろは匂へど (幻冬舎文庫)

左京区シリーズを読んですっかり瀧羽麻子作品にはまっちゃったので、今度は『いろは匂へど』を読んでみた。あらすじはこんな感じ。

京都麩屋町で小さな和食器店を営む紫は、恋人もいないまま、気付けば三十路を過ぎていた。
そんな紫に無邪気で大胆に好意を示してくるのは、15歳も年上の染物師・光山。
いつも彼の本意が読めなくて、そっけない態度しかとれないのだが、想いは募る一方。
ようやく素直になれそうなとき、彼の工房で、いわくありげな年上美人と出会う。
彼女は「恋人じゃない」というが、だったらいったい彼の何? 紫の恋心はこじれにこじれ……。 “あなた色"に染まるのも、染まらないのも、恋の醍醐味。 いくつになっても、恋は恋だが、奥手な三十路女子は、いったいどっちに転ぶのか? 御所、寺町、大原、麩屋町……京都の街を恋色に染め上げる、胸キュン小説。

京都が舞台で、阿闍梨餅やふたばの豆餅が出てきたり、麩屋町の美味しそうなお店が出てきたり、京都のいろんな風景も思い浮かんですごく楽しい作品だったけれど、恋はなかなかにビターだったな。光山ってそんなに良いか?ブライアンにしておけばいいのに、、。なんて思いながら読んでいたんだけど、でも確かに身近にこんな芸術家っぽい人がいたら、惹かれちゃうかもしれないね。大学生の恋物語はまっすぐでキュンキュンしたけど、大人の恋はそう簡単じゃ無いよねえ、、確かに。
恋の話とは別に、染め物の色の話にちょっと興味を引かれた。伊吹山でとれるという、近江の刈安。ススキに似た、その刈安で染めると美しい黄色に染まるらしい。そんな植物が伊吹山に生えてるんだなあ、、なんて。そういうデイティールがなかなか面白かった。
左京区シリーズの方が好きかも?と思ったけれど、でもこれはこれで、胸の奥がチクチクするような、そんな作品ではありました。また他のも読んでみようっと。