マッドジャーマンズ

マッドジャーマンズ  ドイツ移民物語

マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

旦那が、「これ、興味あるんじゃない?」と言って買ってきてくれた、ドイツの漫画本。帯には、多和田葉子さんの推薦コメントもあり、ドイツ移民物語って書いてあって。今、ドイツに押し寄せているシリア周辺からの難民の話かな?と思って読み始めたら、全然違う話だった。でも、今の世界情勢にもすごくつながるところがあって。重いストーリーなんだけど、すごく興味深く読めた。
本の内容について、出版した花伝社のページにはこんな風に書かれてる。

作家のビルギット・ヴァイエは、ケニアウガンダ育ち。2007年にモザンビークに住む家族を訪ねた際に、完璧なドイツ語で話しかけられたことがきっかけで、元出稼ぎ労働者=「マッドジャーマンズ」たち(現地の言い方で「ドイツ製」を意味しますが、もちろん「頭のオカシイドイツ人」という侮りも含まれています)への聞き取りをはじめました。
モザンビークに戻った元出稼ぎ労働者や、ドイツに定住したモザンビーク人など十数人からの聞き取りをもとに、架空の3人のストーリー(とはいえ、個々のエピソードは本当に起こったこと、だそう)をまとめたのが本書『マッドジャーマンズ』です。
 ドイツでは、2016年に「マックス&モーリッツ賞」という、とても大きなマンガ賞を受賞しています(隔年で選出されているので、最新受賞作です)。日本人では、中沢啓治大先生や谷口ジロー大先生が翻訳マンガ部門で受賞されています。

モザンビークという国がどこらへんに有るんだっけ?と、検索しないとわからないくらい予備知識の無い私。アフリカ南部のモザンビークは、もともとポルトガル領だったのが、独立して社会主義政権になった事もあり、1980年代には、東ドイツに多くの若い労働者が出稼ぎに行っていたらしい。新しい技術を学ぶ、、という建前のもと、実際は、単純労働を担って、仕送りしたお金は、ほとんど国に巻き上げられていたらしい。
この漫画は3人のストーリーから構成されていて。真面目で前向きにコツコツ頑張るジョゼと、陽気でちょっと適当なバジリオ、そして、芯の強い女性アナベラ。男性ふたりは、ドイツ統一後、やむなく帰国するんだけれど、アナベラは最後まで頑張ってドイツに残り、医師になる。3人のストーリーはどれも興味深いんだけれど、やっぱり女性という事もあり、アナベラと、アナベラの周りの女性にすごく共感したり、思い入れを持って読めた。
アナベラの家族が、モザンビークの国内戦争で味わった出来事が、本当に悲惨すぎて。でも、、これってきっとシリアあたりでもごく最近に頻発した出来事なんだろう、と思われ。
そんな中で、本当に親身になってアナベラを助けた、ドイツ人の女性の友人達が本当にすごいな、、素晴らしいなあ、、って思った。いろいろ有るけれど、こういう人道援助を本気で真剣にやる人って、ドイツにはいるよな、、って思ったり。私にできるかと問われれば、、なかなか難しい、と思う。正直なところ。
なんだかいろんな事を深く考えさせられる話だった。漫画の絵柄は、日本の漫画と全然違うので、ちょっと読みにくいところもあるけれど、ストーリーにはぐいぐい引き込まれるので、おすすめ。