『NYの「食べる」を支える人々』

NYの「食べる」を支える人々

NYの「食べる」を支える人々

旦那が、「これ好きなんじゃない?」って、薦めてくれた本。確かにこれ、すご〜く面白かった。私好みだった。
本の中身は、NYで食関係の仕事に携わる人、53人にインタビューした内容をまとめられている。それぞれの人々に自分史を語ってもらっているんだけれど、それがとっても興味深い。前書きにはこんな事が書かれている。

私がこの本を書くきっかけになったのは、いかにも春を思わせる3月初旬のある爽やかな午後の、偶然の出会いでした。オープンしたてのベジタリアンレストランでランチをした帰り道、アッパーウェストサイドのアムステルダム通りにあるお肉屋さんの前をとおり過ぎました。
(中略)
私はお店に入り、細切れ肉を2ポンド注文しました。別の従業員が裏で切り立てを作っている間、私は何気なく、「今の時代に肉屋としてやっていくこと」について店主に質問してみました。すると、店主の当意即妙の切り返しがあまりに面白く、洞察力鋭く、仕事に対する熱い思いがこちらにまで伝染したため、こう思ったのです。
この街には、彼のような人があとどのくらいいるのだろう。それぞれの物語を持つ人々が―。
そしたら、大勢いたのです。
数年にわたり、ニューヨーク市の5つのボロー(行政区)のすべてをシラミ潰しに調べた結果、百科事典のように何巻もの本が書けるほどたくさんいることがわかりました。が、1冊しか書けませんので、同じだけたいへんな抽出作業を行わなければなりませんでした。 最初、ニューヨーカーの食に多大な影響を与えた人々を選び出しましたが、結局そのリストは捨て、ふりだしに戻しました。なぜかというと、えてして、今まで名前を見たことも聞いたこともない人から、一番ワクワクする話を聞ける場合が多いからです。
(中略)
この本は、個人がそれぞれ自分の言葉で自分語りをするオーラルヒストリーです。料理長もいれば、ラインコック、レストランオーナー、ナイトマネージャー、卸商、チーズのプロ、パン職人、露天商、ケータリング業者、組織の食料担当などなど。
これらの物語は、名前を覚える間もなくお店が消え、夢が破れては新しく芽生え、運命がほんとうに急旋回しうるこの食の街で、競争に追われ、先が予測できず、苛酷なことも多いけれど、総じてほぼ満足しているという彼らのその人生にスポットライトを当てています。

インタビューに答えてる人たちの、仕事に対するプライドや、生きざまがすごく興味深いんだけれど。私はそこに出てくる食べ物にもやっぱりすごく興味を引かれた。
この本の一番最初に出てくるのが、ドミニク・アンセル。「クロナッツ」を発明して、NYで大流行させたペイストリー・シェフ。日本にも表参道にお店を出してて、銀座三越にもお店があったりする。ドミニク・アンセルはフランス人で、フォションで働いていたのね。彼の発明品、クロナッツって、食べたことないけど、今度三越で買ってみようかな?どんなのか食べてみたい!カロリーは気になるけど、、。などなど、読み始めからいきなりおなかがすいてきた。
他にも、ハーレムのパン屋さんのところのインタビューで出てくる「ルゲラー」というお菓子?(菓子パン?)がめちゃめちゃ気になって。調べたら、ユダヤ人の菓子パンらしく。「うわ〜!!これ食べたい!!!」って本を読みながらつぶやいてたら、旦那が翌日買ってきてくれた。ルゲラー。

銀座のThe City Bakeryに売ってたみたいで。さすが、NYのパン屋さんだ。ていうか、やっぱり東京ってすごいわ。

旦那と半分こして味見してみた。う〜ん。これ、めっちゃ好み!くるみやナッツ類とドライフルーツがとにかくミッチリいっぱい挟まってる。外側の皮の部分は、サクサクしてて香ばしくて。とにかくすご〜く美味しい。甘いし、カロリーも高いだろうなあ、、って思うけど。まあ半分なら良いだろう。お値段も高いような気がするけど、これだけ美味しかったらまあ仕方ないかな?ルゲラーは、エルサレムでもNYでも、いろんなお店がいろいろなルゲラーを作っていて、その味を競ってるみたいだけれど。日本人にとってあんパンみたいなものなのかな。できれば、また買ってみたいな。