23日の祝日、3連休の最終日。新宿バルト9まで、映画を見に出かけた。高校の同窓生4人で、映画を見に行ってきた。
この映画。『葬式の名人』。大阪府茨木市の市制70周年の記念事業として制作された映画。
私は茨木市生まれ。茨木市は、幼年時代から小学校、中学校、高校生までの多感な時期を過ごしたふるさとだ。しかも、この映画の舞台は茨木高校。私の出身校だ。
この映画の、原案となったのは、茨木市で3歳から18歳まで育ち、日本初のノーベル文学賞を受賞した川端康成の作品群だ。茨木市で過ごした少年時代をもとにした『十六歳の日記』、茨木中学時代(現在の茨木高校)の思い出を描いた『師の棺を肩に』『少年』、少年少女のみずみずしい交友を綴った『バッタと鈴虫』、ユーモラスなエッセイ風の『葬式の名人』、魔界と評される川端ワールドを堪能できる『片腕』。
川端康成は、茨高の先輩でもある作家。その映画を見ないわけにはいかないでしょう。
そんな訳で、同窓生と一緒に映画を見に行ってきた。
全編茨木ロケのローカルな映画。東京でも見に来る人はいるのかな??とちょっと恐れていたけれど、一応映画館は、それなりに人が入っていて、ちょっとホッとした。
映画は、青春群像劇のようでもあり、不思議なファンタジーのようでもあり。
茨木高校出身の私には、映し出される風景を見るだけでものすごく懐かしいし、それだけで泣ける作品だった。
どこか、生と死の境目が曖昧な一夜の出来事。お通夜の夜ってそういうところ、有るかもしれないな、、なんて。この前父を見送ったお通夜の夜の事を思い出したりした。
ただ、私は、川端作品は『伊豆の踊子』くらいしか読んだ事がなくて。基礎知識がないままに見てしまったんだけど。映画の中にはあちこち、川端作品へのオマージュがちりばめられていて。川端康成好きな人には、とても楽しめる作品だったのではないかと思う。
ちょっと独特な世界観なので、レビューでは「ついていけない」という意見も結構あるみたいだけど。私は、このファンタジーな雰囲気はとても好きだった。
茨木市や茨木高校に縁のある人はもちろんだけど、川端作品の好きな人もすごく楽しめると思う。そうでなくても、不思議なファンタジーを楽しめる人は楽しめるんじゃないかな。そう思った。
前田敦子と高良健吾の演技もすごくしっくりきてよかった。前田敦子ってAKB時代しか見てなかったので。こんなにしっかり演技のできる女優さんになってたんだなあ、、としみじみ。
見に行ってよかった。また見てみたいな、、と本当にそう思う。
映画館まで足を運ぶのは数年ぶり。今の映画館は椅子も座り心地が良いし、音響も良いし。しばしの時間、別世界を楽しむにはちょうど良い場所かな?と思った。