黒のトイフェル

黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)

黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)

しばらく読む暇がなかったんだけれど、読み始めたらすっごく面白い、『黒のトイフェル』。
舞台は13世紀のケルン。しがないこそ泥、狐のヤコプは、ケルン大聖堂の建築監督ゲーアハルトが大聖堂の足場から黒い影に突き落とされる姿を目撃し、命を狙われることになってしまう。ゲーアハルトを殺した黒い影は悪魔(トイフェル)だったのか?
ヤコプは偶然知り合った染め物屋の娘リヒモディスと、その伯父で、教会の主席司祭を務める賢者ヤスパーに助けられ、事件の背後に潜む陰謀を探り始めるのだが、、。
という感じのストーリー。ケルンには一度しか行ったことがないけれど、あの威風堂々とした美しい大聖堂が舞台、というだけでまずわくわくする。そして、ケルンの市場の様子なんかも出てきて、すごく興味深い。
建築家ゲーアハルトは実在の人物で、実際に、大聖堂から転落して死亡したとされている。なんでも、ゲーアハルトは、大聖堂の完成をめぐって、悪魔(トイフェル)と契約を交わし、魂の宿った肉体を悪魔に渡さないために、大聖堂から飛び降りたという伝説があるとか。
そんな伝説からストーリーを考えだしたのかな。史実もおりこんで、十字軍の傷跡などもいれつつ、ミステリーとしてドキドキする展開になっていて、すごく面白いストーリー展開。
グルメ警部キュッパー (ランダムハウス講談社文庫)

グルメ警部キュッパー (ランダムハウス講談社文庫)

同じ作者が、現代のケルンを舞台に書いた『グルメ警部キュッパー』も読んだけど、全然違う雰囲気で、同じ作者とはびっくり。グルメ警部も面白かったけど、私はこの『黒のトイフェル』の方がもっと面白かった。
面白いミステリーって、ページをめくるのがもどかしい感じがするよね。まさに、そんな感じの本だ。