解錠師

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2013年度版『このミステリーがすごい!』の海外編1位になっていた作品。このミスの解説をチラッとみて“これは面白そう!”と思って買ってみた。電子書籍版が出てたし。これは買いだなあ、、と。この週末に読み終えたんだけど、やっぱりとっても面白かった。
あらすじはこんな感じ。

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。

物語は、主人公マイクが回想を語るところから始まる。話は、子供時代の事と、18歳の頃のこと、交互に語られる形になるのだけれど、だんだんその二つの話の時間が近づいてきて、最後重なり合ってくる。後半、時代が近づいてくるにつれて、ドンドン話にスピード感が出てきて、しかもものすごく引き込まれた。ミステリーでもあり、青春小説でもあって。とても面白かった。そもそも最初に、鍵を開けるのが得意なところを友達に見せなければ、その友達が、上級生の閉まったロッカーを開けさせるような真似をしなければ、、マイクの道はもっと違ったものになっていたかもしれない。でも、そうだったら、彼女には出会えなかったかもしれないし。そんな事をいろいろ考えさせられた。
解錠師ってことで、どうしても思い描いてしまったのは、『鍵のかかった部屋』。まあ、マイクの話と榎本径の話は全然違うストーリーなんだけど、でも鍵を開ける技術的なところで、やはり似通ったところがあり、それはとても興味深かった。タルカムパウダーをつけて、どこのキーが一番使われているのかを調べるあたり、古典的な手法なんだなあ。てことは、やはり金庫の暗号数字も、ネット上のパスワードと同じく、時々変更するのが理想的なんだろうけどねえ。忘れちゃうしね。まあ、私の場合、泥棒に狙われるような財産が全然無いから心配ないともいえるんだけど、、ね。
ところで、この『解錠師』も、電子書籍で読んだ。電子書籍ってやっぱり便利だわ、、とつくづく思う。何より、字が大きくできるのがすごいメリット。読みやすいし、読んでて疲れない。新刊はすべて電子書籍でも売ってくれればいいのになあ。紙の本が好きな人はそちらを買えばいいと思う。私は電子書籍で読みたい。でも、まだまだ電子書籍になってる本って少ないのよね。いろいろ権利関係がややこしいのだろうなあ。『解錠師』の次に読み始めた本は、紙の本しか出ていないので、紙で読んでる。でも、新書サイズで小さいからなかなかつらい。だんだん小さい字、それも薄暗い場所ではますます読みづらくなってるのよね。切実な悩み。年は取りたくないもんだねえ、、。