ブエルタ・ア・エスパーニャ2013


今年のブエルタ・ア・エスパーニャ。あんまり期待も無く見始めた。特別応援したい選手もいないし、まあスペインの景色でも楽しめたらいいかな、、って感じで。ところがどっこい、めちゃめちゃ面白かった。最近見たレースでは一番面白かったと思う。去年もそういえば、ブエルタが一番面白かったんだよね。

第20ステージまでもつれにもつれた総合争い。3秒差で競っていたニバリとホーナーの戦いは、最後までハラハラさせてくれた。アングリルの激坂で、景色は霧でもやっててよく見えない。時々カメラが二人をとらえられなくなり、なんにも見えなくなったりして「ちょっと!!マジで!?こんな肝心なところでレースを映せ〜!!」なんて叫びつつテレビを見ていたんだけど、最後激戦を制したのは、なんと41歳のホーナー。ビックリだよ。今までグランツールを制した最年長者は、1922年に36歳でツール・ド・フランスを制したフィルマン・ランボー。それより5歳も年上なんですけど!41歳ってだいたいもうみんな引退して指導者になってる年だよ。それがこんなに頑張っちゃってるんだから、すごすぎる。
沖縄生まれのアメリカ人ホーナー。なんだか沖縄生まれってところが親近感湧くんだよね。何歳までいたのか知らないけど。で、ホーナーのインタビューが毎回面白くて。彼、スペインのチームにいた事があるらしく、結構スペイン語がしゃべれるので、最初の頃はスペイン語でインタビューに答えてた。でも、終盤ステージになってきたら、「ごめん疲れてるんで、英語でいい?」って言って英語でインタビューに答えてた。なるべくスペイン語で話そうとする姿勢も、アメリカ人ぽくなくていいなあ、、って好感持てた。総合優勝を決めた第20ステージ終了後のインタビューがまた最高だった。
「ニーバリが6回アタックしてきたって?ボクにとっては、10回とか20回とか、そんな気がしたほどだよ。彼は凄いショーを見せてくれた。ソファーに座って眺めていたら。どんなに面白かったことだろう。ファンにとっては、信じられないような光景だったはずだ。ペダルストロークのひとつひとつを、楽しんでもらえたかな」
「ボクのような年齢の男がグランツールを勝つなんて。きっと皆さんが生きている間は、もう2度とお目にかかれないようなことだろうね。それに、この年になると、明日まで待たずとも、しみじみと感慨にふけることができるようになるものさ。これがどれだけ美しいことなのか、十分に理解してる。ニーバリが仕掛けてきた戦いは、華々しく、そして激しかった。あれほどの濃い霧の中で、体の深部から力を振り絞らなきゃならなかった。だからなおのこと、素敵だよね。ニーバリやバルベルデ、ロドリゲスといった偉大なるチャンピオンと戦って総合を手に入れたことは、ボクにとって大きな意味を持つんだ」

20ステージの激走を終えたホーナー。ゴールした後倒れ込んで、酸欠状態になってる感じだった。まわりのスタッフに支えられないと立ち上がることもできないくらい、すべての自分の力を出し切った41歳のおっさん選手の姿に本当に感動した。年齢を言い訳にしちゃいけないね。努力し続ければこうやって遅咲きの花を、年齢関係なく咲かせる人もいるんだから。怠けちゃダメだ、、としみじみ思った。すごい感動をくれたホーナー、本当にありがとうって言いたい。