四十九日のレシピ

四十九日のレシピ

四十九日のレシピ

5年前、ドラマ放映時に買っていた『四十九日のレシピ』原作本。なんだかその時に読みそこなっていて、今回久しぶりに引っ張り出してきて読んでみた。やっぱりすごく良かった。心にしみる本だった。NHKでドラマ化された後、映画化もされたので、あらすじは知ってる方も多いかもしれないけど、一応、こんな感じ。

熱田家の母・乙美が亡くなった。
気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。
乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。
彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。

小説の方は、語り手が、良平の時と、娘の百合子の時があり、それぞれ二人が、乙美の死を乗り越えて新しい一歩を踏み出すまでを描いてる。亡くなった人が、極楽浄土へ旅立つ日が四十九日と言われてるけど、乙美もちょうど四十九日を終えて旅だったんだなあ、、って思わせてくれた。それまでは、すぐ近くにいたのではないかな?って。それは幻想かもしれないけど、幻想なのか、真実なのか曖昧なところが味になっていて、そのおかげで心がほんわか暖まる作品だなあって思う。
私は、映画版よりNHKのドラマ版が好きだったんだけど、ドラマはかなり原作に忠実だったんだな、、ってあらためて思った。イモトは、見た目こそ原作と違うけど、口調や雰囲気はかなり原作のイメージをそのまま生かしていた。ハルミの、イケメンでかつふんわり優しい感じも、ドラマ版の方がイメージぴったりだったな。
子供のいない百合子の気持ちが、痛いほどよくわかった。そこに対して、ずけずけと物を言う珠子おばさんの言葉がいちいちグサッときて、このおばさんだけは本当に許せないわ、、って思っちゃった。でも、現実にはそういう事はよくある事で。そういう事って普通に乗り越えていかないといけない事なんだね。
大切な人を亡くして、その人のいない世界を生きていかないといけない時のつらさや悲しさを、しみじみと感じることのできる作品だった。またしばらくたって、いつか読み返したい本だ。