書架の探偵

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

なんとなくタイトルに惹かれて読んでみた『書架の探偵』。すごく面白かった。内容はこんな感じ。

図書館の書架に住まうE・A・スミスは、推理作家E・A・スミスの複生体である。生前のスミスの脳をスキャンし、作家の記憶や感情を備えた、図書館に収蔵されている“蔵者”なのだ。そのスミスのもとを、コレット・コールドブルックと名乗る令嬢が訪れる。父に続いて兄を亡くした彼女は、死の直前、兄にスミスの著作『火星の殺人』を手渡されたことから、この本が兄の不審死の鍵を握っていると考え、スミスを借り出したのだった。本に込められた謎とは?スミスは推理作家としての知識と記憶を頼りに、事件の調査を始めるが…。巨匠ウルフが贈る最新作にして、騙りに満ちたSFミステリ。

この小説の舞台は22世紀末、だったかな。SFミステリ。なんだか設定がものすごく面白くて。それに惹かれてどんどん読んじゃった。
主人公が、推理作家のクローンで。生前の脳をスキャンして、図書館の書架に住んでる。それって、映像にするのは大変だろうな。文字で表されるから、なんとなく自分の頭の中で姿や世界を想像して、そんな自分の想像の世界を楽しむのがこの作品の一番の魅力かな?って思った。未来の図書館は、こんな風に作者のクローンが所蔵されてたら面白いだろうな、とか。印刷はオンデマンドだけって、それはすぐ近未来にそうなりそうだよなあ、、とか。一定期間借り出されないと処分されるって、、それはクローンにとっては死活問題だけど、本だったらそうやって処分されちゃうのも有りなんだろうなあ、、とか。いろいろ思い描いたり想像したりが楽しい。
スミスの著作『火星の殺人』が、この事件を解く鍵なんだけれど、なるほどそういうことかあ、、、って。そのポイントにもやられた!って感じで。私的にはとても面白い作品だった。