桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

金曜日、うっかり涼宮ハルヒを職場に置き忘れて帰って来ちゃったので、週末は、その前に買っていた『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』を読んでいた。これが結構面白い。桑形幸一准教授、通称クワコーの、ちょっとデフォルメされた?准教授の生活が、ちょっと笑える。いや、笑い事ではない面もあるんだけどさ。
東大阪の、最底辺、つぶれそうな女子大から、千葉県のはずれの、やっぱりつぶれそうな最底辺の大学に移ってきたクワコー。

桑幸は年を追うごとに知的に後退し、加速度的に脳細胞が死滅した。それでもレータンには、かろうじて自分の名前とひらがなカタカナが書ける程度の、いわゆるサル学生しか棲息していないため、それでとくに困ることはなかった。

、、て、おいおい。という感じなんだけど、全編こんな感じで、結構皮肉がきいてる。そのクワコーが、異動先の大学で顧問になった文芸部の個性的な学生達と、ちょっとした事件を解決しちゃう、ミステリーのようなコメディのような作品。もう、そこの女子大生の会話が、宇宙人なみで、私からしても結構理解の範疇を超えてる感じ。それも面白い。
この作品、3回か4回くらいのドラマの原作になりそうだなあ、、なんてちょっと思った。なかなか軽妙でウィットがきいてて、ドラマ化しても面白そうだと思う。作者の奥泉光さんは、芥川賞も取ってるのね。だからたぶん違うトーンの文体も書けるんだろうと思うけれど、この作品はとても軽くて読みやすかった。今、近畿大学の教授もされてるみたいなので、きっと大学の内情にも詳しいのね。