プリンセス・トヨトミとある思い出

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

本屋さんで、プリンセス・トヨトミを買ってきた。早速読み始めたけど、やっぱり面白い〜。
主な登場人物は、東京からやってきた、会計監査院の3人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った2人の少年少女。さすが、万城目学の小説だけあって、まず名前からこってる。調査官のリーダーは松平だし、女性調査官の名前は旭。旭といえば、徳川家康に嫁いだ秀吉の妹の名前だし。松平は徳川家の名前。
大阪生まれの少年は、真田君だし、少女の名前は茶子。茶子っていう名前はたぶん淀殿の幼名茶々からとったんだと思う。鹿男の時は、先生方の名前を、古い都の名前にするこりようだったから、いろいろディティールにこるところが万城目さんらしいなあ、、とまず思った。
まだ最初の部分だから、ネタバレにはならないと思うけど、その真田君が、子供の頃から近所の神社でお祈りしていることが、「女の子になりたい」という願い。そんなことお祈りされても、神様も困るやろ、、と思うんだけど。
その願いから来る行動と、そこで巻き起こる事件を読んでいて、私はある思い出を鮮明に思い出した。もう10数年前になるけど、フランス語学校に通っていた時のこと。同じクラスにいた男性が、だんだん女性になっていって、、ちょっとびっくりした。だんだん服装が女らしくなり、スカートをはいてくるようになって、お化粧もするようになって、、。まあ考えたら、特に誰かに迷惑をかけるわけじゃないんだから、別に自由なんだと思うけど、その時はちょっとびっくりした。でも、なるべく普通に接したけど。彼は、ものすご〜くフランス語のできる人で、結局シャンソン歌手になって、パリに行っちゃったけど、その後どうしたかなあ。彼は彼なりにいろんな葛藤があったことを、パリに行っちゃう前にいろいろ話してくれて、そのことがすごく印象に残ってる。その彼のことを、プリンセス・トヨトミを読んでいて鮮明に思い出した。今頃どうしてるんだろうなあ、、。今もパリにいるのかな。そういう感じの生き方を選ぶ場合、なんとなくフランスの方が柔軟に受け止めてくれるような気もするけど。どうなんだろう。
プリンセス・トヨトミはまだまだこれからストーリーがどんどん展開していきそうで、すごく楽しみ。どんどん話に引き込んでくれる万城目さんの語り口はやっぱり快調だ。