やっぱり好きな本はしぼれないかも

何回か前の日記で、「私の好きな本ベスト5!」ってのを発表した。その時にぱっと頭に浮かんだ自分の大好きな本を5冊並べたんだけど、よく考えると結構漏れてる本が有ったなあ、、と。まあ、どうしてもここ数年内に読んで印象深かったものに限られちゃうので、10年くらい前に読んでいた本なんかはすっかり忘れてしまっていた。でも、すまきさんにいただいたコメントで、めちゃ大好きな本をうっかり書き漏らしていたのに気づいた。

須賀敦子さんの本を忘れていたとは。なんたる不覚!『ミラノ霧の風景』との出会いは、衝撃的なくらいだったのに。彼女の文体が大好きだった。透明感があり、どこか哀しい、そして美しい須賀さんの文章は本当に素敵だ。彼女の書いたものはなんでも大好き。
コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

『コルシア書店の仲間たち』も、同じくらい大好きで、どちらも捨てがたい。夫との出会いと別れが、さりげなく描かれていて、決して感傷的な文章ではないのに、どこか透き通った哀しさがある、そんな本。須賀さんくらい文章の美しい人ってめったにいないと思う。
ゆっくり東京女子マラソン (朝日文庫)

ゆっくり東京女子マラソン (朝日文庫)

千刈あがたさんの本を手に取ると、昔自分が働いていた会社を思い出すんだよね。彼女の作品ってどこか暖かいところが好きだった。49歳でガンで亡くなったんだよね。早く逝ってしまったなあ。彼女の感覚は、私の世代的に近いところがあった。今の感覚からすると少し古いかもしれないけど。
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

アゴタ・クリストフの三部作はどれも大好き。衝撃的だった。私、彼女の実物に会った事があるんだよね。(ちょっと自慢。)ミュンヘンに住んでいた頃、彼女の本の朗読会があって、そこに行ったことがあるので。フランス語での朗読会だった。なつかしいなあ。彼女、ハンガリー人なんだけど、亡命先のフランスで、フランス語の作品を書いたんだよね。朗読会の時も、自分がフランス語で表現することについて、いろいろと語っていた、、と思う。
遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)

村上作品は、もちろんいろいろ好きなんだけど、どれが一番好きかというと、なんだかこのエッセイになるんだよね。彼の文章をすごく楽しめる一冊だったと思う。ヨーロッパ好きなんで、読んでて楽しいし。
先生とわたし (新潮文庫)

先生とわたし (新潮文庫)

これは、読んでてすごく切なくなった話。師弟の話として、感動もしたし、そして哀しくもなった。こういうちょっとしたすれ違いからだんだん離れてしまうってこと、あるだろうなあ。そして人が老いるっていうこともなんだか哀しい。
徘徊老人の夏 (ちくま文庫)

徘徊老人の夏 (ちくま文庫)

徘徊老人は、飄々としていて素敵なんだけどね。
まだまだ好きな本はたくさん有るけど、そういえばこんな本が好きだよなあ、、って思い出した本をあれこれ並べてみた。たぶんまた取り上げる時期によって変わってくるかも。一度読んで、その時は読み過ごしてしまった事が、あとで読み返すとすごく胸に響くこともあるし。きっとその時の自分にどこまで響いてくるか、、なんだよね。