- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: 単行本
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自分の両親を見送る話なんだけれど、なんだかね、、いろいろ身につまされる話が多くて。旦那の母が亡くなった時のあれこれをすごく思い出したり。相田家でも母の方が先に亡くなり、その後しっかりしていたはずのお父さんが結局一人で暮らすのは難しく、老人ホームに入るのを選んだあたりのいきさつが、、なんともいろいろ考えさせられた。うちの場合、義父がとてもしっかりしてて、身の回りのこともちゃんとできる人だから助かってるけれど、、。
子どものときの紀彦にとって、父は完璧な人だったのだ。絶対的に信頼できる人格であり、自分もそういう大人、そういう男になろうという目標だった。それが、紀彦が父を尊敬していた基本的な動機の一つでもあった。
だから、近頃の父を観察していると、人生の拠り所が、少しずつ風化して崩れていくように感じた。
なんだかこの気持ちすごくわかる。胸が痛くなるほど。私もできれば今のような、自分の父の姿は見たくなかった。正直なところ。それはしょうがないこととわかってはいても。なんだかね、この本を読んでいると、いろいろ胸が痛くなったり、共感したり。自分の両親のこと、旦那の両親のこと、いろんな事がよぎって、あれこれ思わずにはいられない。
両親が亡くなった時、自分は自由になった、、という感覚もなんだかわかる。それは別に親不孝とかそういう事ではなく。自分の人生が自分だけのものになったという感覚は、、なんだかわかる気がする。そして、この後、主人公は仕事もやめて、本当に自由になるんだけれど、そのあたりの淡々とした雰囲気もすごく好きだ。
私と同年代の人、アラフィフの人には、特に心にしみる話、いろいろ考えさせられる話ではないかと思う。おすすめ。