『ふたり姉妹』

ふたり姉妹

ふたり姉妹

左京区シリーズ以来、すっかりはまっている瀧羽麻子作品。今度は『ふたり姉妹』を読んでみた。これは舞台が京都ではない作品。東京とどこか地方都市のお話だった。あらすじはこんな感じ。

東京の製菓メーカーで企画職として働いていた29歳の聡美が久しぶりに故郷に帰ってきた。実家を出たことがなくずっと田舎暮らしの三つ下の妹・愛美は、この機会に姉の家で都会の暮らしを楽しんでみたいと思い立つ。部屋を貸すことを嫌がる姉や困惑する婚約者を説き伏せて、愛美は東京に発つが、聡美の家で姉の恋人と遭遇。プライドが高く向上心の強い姉の突然の帰省を訝しんでいた愛美は彼に探りをいれてみることに。聡美が実家に帰ってきた本当の理由とは―?自分を見つめ直す二人の物語。

仕事を精一杯頑張ってきたんだけれど、ちょっとトラブルがあって疲れてしまい、故郷に戻ってきたお姉ちゃん。ストーリー設定自体は、わりとありがち?って思ったんだけれど、でも、この人の心理描写が細かく丁寧で。なんだか作品世界にどんどん引き込まれてしまった。
話は、姉視点と妹視点が交互に出てくる構成で、それもなかなかうまく構成されていて面白いし。私は姉についつい共感しまくって、途中思わず涙しちゃった。まあ最近、涙腺が弱いってのも有るんだけれど。
時々ちょっと息を抜いて、休むのもいいもんだよ、、って。お姉ちゃんに言ってあげたくなった。お姉ちゃんの恋人の柏木さんがなかなか良い感じで、私はこういう人好きだな、、って思ったよ。『いろは匂へど』の光山さんより、こっちの方が良いなあ、、とか。ついつい別の作品の彼氏を比較してしまった。笑
京都が舞台の作品は、あちこち街の様子を思い浮かべる事ができたし、阿闍梨餅や豆餅の味を具体的に思い浮かべて「美味しいよなあ、、」って思えたけど。東京の様子も、すごく描写が上手で、ひとつひとつ、「うん、そうだよね〜。」って思いながら読む事ができた。トスカーナ料理のお洒落なお店とか、フランチャコルタをチョイスする柏木さんとか、、その設定がいちいちうなずけて。それもやっぱり作品の味として、楽しめた。