村上春樹〜色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

3年ぶりの村上春樹の新作。とりあえず買ってきた。別にハルキストってこともなくて、どっちかと言うと、私は彼のエッセイがすごく好きだったんだけど、この前読んだ1Q84がすごく面白かったので、今回もちょっと読んでみようかな、、と。
そんなわけで、この週末に読み始めたんだけど、読み始めたら止まらなくなるのが村上春樹なのよね。土曜日の深夜に読み終えてしまった。なんだか次の展開が気になってどんどん読み進めていくうちに、本のページが残り少なくなってくると、今度はなんだか読み終えるのが寂しいようなもったいないような気分になってきたりして。すごく複雑な気分だった。それでも、読み終えた瞬間は、すごく気持ちがすっきり、気分が良かった。一度読み終えたけど、ちょっともう一度一文一文しっかりかみしめながら読み返してみようと思う。
私自身、自分の人生の中で高校時代っていうのはとても大きく自分自身に影響を与えた時期だったし、その頃に作られた自分というものが、自分の中の大きな部分を占めているんだと思う。思い出も大きければ、人間関係も濃密だった。それだけに、主人公が、高校時代、そして大学時代に体験した大きな出来事について、すごく共感できる部分があった。ある時点で、その時に信じていたものが理不尽に断ち切られたとしても、決してすべてが消え去ってしまうということはない、、ということにも、共感できた。主人公と、かつての友人のやりとりの中で、別に悲しいシーンでもないのに、読んでてぽろぽろ涙がこぼれてしまうところがあり。それだけ深く主人公に同調しつつ、物語世界にすっかり浸っていたんだと思う。
遠くて寒すぎるけど、フィンランドにもなんだか行きたくなってしまった。いろんな情景が目に浮かぶようなのは、やはり村上春樹の筆力なんだろうね。彼の文体がとても心地よく読めた。