お菓子でたどるフランス史

「きっとこの本好きと思うよ」と旦那が買ってきてくれた本、『お菓子でたどるフランス史』。確かにこれ、めっちゃ私のツボだった。内容はこんな感じ。(ジュニア新書編集部HPより引用)

ちかごろは,お菓子好きは女性に限らず,スイーツ男子も当たり前になりました.でも本当は,日本男児も昔からお菓子好きで,ちょっと恥ずかしくて言えなかっただけなのかもしれません.
この本に登場する人々,サブレ夫人にポンパドゥール夫人,カトリーヌ・ド・メディシスマリー・アントワネットなど,有名な貴婦人たちがお菓子好きであることは,みなさんもご存じかもしれません.でも,実は太陽王ルイ14世もクリームなどお菓子好きですし,モーパッサンやデュマ,プルーストなどの文豪たちもお菓子をその作品にたくさん登場させています.そして,お菓子は政治家たちにも愛され,ナポレオンやタレーランも有名パティシエを雇い,相談や研究を重ねていました.
そう,フランスではお菓子は女性だけのものではなく,フランスの文化を象徴し,外交さえも左右する重要なアイテムだったのです.フランス菓子のおいしさにやられてしまった外国元首は数知れず.王の寵愛もお菓子を武器に争われました.そして,お菓子の甘さの秘密,砂糖をめぐっては,数々の戦争が引き起こされました.お菓子はフランスの歴史をたどる格好の素材なのです.
著者はスイーツ好きを自認する中世ヨーロッパ史の専門家.だから,お菓子の由来を語るだけの本とはひと味もふた味も違います.姉妹書の『パスタでたどるイタリア史』と合わせて,ぜひお楽しみください.

著者も序章で書いているけど、世界中のお菓子でもやはりフランス菓子が世界一っていうのは同感だな。そりゃウィーン菓子もイタリアのお菓子も美味しいし、和菓子もなかなかのものだと思うけれど、世界一のお菓子というとやっぱりフランス菓子だなあと思う。そのフランス菓子の歴史をたどるこの本はとっても興味深い。
パン・デピスはもう11世紀頃から有ったんだなあ。14〜15世紀に広まったみたいだけど、すごく歴史のあるお菓子なんだ。パン・デピスってパウンドケーキ型みたいなのと、レープクーヘンのようなクッキーっぽい形をしたものと両方あるみたいだけど、ナツメグ、シナモン、ショウガ、コショウ、クローヴなどスパイスたっぷりなのはどちらも一緒みたい。今も脈々と受け継がれてる伝統的なお菓子、パン・デピス。ちょっと食べてみたいなあ、、って読みながら思ってたら。なんと今週の失恋ショコラティエで主人公がパン・デピスを作っててビックリ。パン・デピスがはやっちゃったりする?
クリスマスにフランスでよく食べられるビュッシュ・ド・ノエルの歴史は比較的新しく、1870年以降のことらしい。それに比べて、1月6日の公現祭に食べられるガレット・デ・ロワは14世紀初頭にはすでに伝統となっていたらしい。それも結構意外な事実だった。
今は世界一と思われるフランス菓子だけど、実は15〜16世紀頃にイタリアの料理人が発展させたところが大きいみたい。1533年に、カトリーヌ・ド・メディシスが輿入れと同時に連れてきた料理人たちが、フランスにいろんなお菓子をもたらしたみたいで。やっぱりローマ帝国から伝統の続くイタリアの方が、この時点では文化的にだいぶん進んでいたんだなあ。それだけでなく、カトリーヌ・ド・メディシスが来てようやく肉をフォークで食べるようになった、、というのも驚き。それまで肉を手で食べてたって??かなりビックリした。
歴史上のいろんな人物やその時代の出来事とともに、さまざまなお菓子が語られているのが本当に興味深い。でも、やたらいろんなお菓子が食べたくなっちゃうのが、非常にまずい、、とも言える。とても楽しい本だ。